9人が本棚に入れています
本棚に追加
真ん中高め。
絶好球だ。
少しずつ俺に迫ってくる白球は『打ってみろ』と言っているような迫力だった。
俺はその言葉に答えるように左足を踏み込んで、おもいっきりバットを振った。
俺の感覚ではショートの頭上を抜けていく二塁打、もしくは三塁打……。
しかし、またキャッチャーミットの中には白球が吸い込まれていた。
空振り……。
一瞬大きな応援が全く聞こえなくなった。
夏の風は心地よく俺を慰めてくれるように吹いていた。
背番号8のきれいなユニフォームは、どこか心細く見えた。
最初のコメントを投稿しよう!