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「――おい馬鹿、止まれ」
大通りに出る手前でライが歩みを止めた。
「なんだ?」
小声で静止を呼び掛けてきたライに小声で返す。
「あれを見てみろ」
そういって彼が指差した先にいたのは
シルクハットを被り、厚手のスーツで決めたふくよかな中年男性―――鴨だ
「!!」
興奮のあまり大きな声が出そうになるのをなんとか抑えた。
しかし、声が出たとしても大通りの雑音により掻き消されるので相手にばれる心配はないだろう。
「まさか貴族・・・?」
紳士な格好の鴨の腕には輝く腕時計があり、さらにスティックには宝石が埋め込まれていることからそうとうな金を持っていると解釈できる。
「いやそれはないだろう。だが・・・いい獲物には違いない」
ニヤリと口端をあげた。
「いつものでいくか?」
ライは一つ頷くと人混みに紛れた。
作戦・・・開始。
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