友達-ナカマ-

5/8
前へ
/49ページ
次へ
テトラはいつものように鴨の背後にまわり、気付かれないよう注意をはらいながら尾行する。 変に隠れず、堂々と。 ここで上手く自然を装えば成功率がぐんとあがる。 ・・・慎重にいかなければ・・・。 猫のように静かに男の背後に付くことができた。 そして正面から歩いて来ているライに向かってOKの合図をおくる。 (厚手の服着たオッサンは金持ちってな♪) そんなことを考えているうちにライが行動に出た。 「――ってぇな!どこ見て歩いてんだよオッサン!」 鴨の正面から来たライは擦れ違い様ギリギリの所で肩をぶつけた・・・無論、わざとだ。 だが、相手が悪いかのように睨み付ける。 そんな態度に相手が腹を立てない訳がなくて、 「君の方からぶつかってきたのだろう?!」 声を荒げる。 「あぁ?!てめぇの方からぶつかってきておきながら何言ってんだ!!」 「なんだって!?」 「あ゙ー絶対骨折れてるわ・・・どうしてくれんだよ!」 鴨の方はそう仕向けられているとも知らずヒートアップしていく。 顔を真っ赤にして怒鳴る彼にもはや周りは見えていない。 ―――ここからが俺の出番だ ライが鴨を引き付けている間に財布を抜く。それがテトラの役割。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加