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テトラはいつものように鴨の背後にまわり、気付かれないよう注意をはらいながら尾行する。
変に隠れず、堂々と。
ここで上手く自然を装えば成功率がぐんとあがる。
・・・慎重にいかなければ・・・。
猫のように静かに男の背後に付くことができた。
そして正面から歩いて来ているライに向かってOKの合図をおくる。
(厚手の服着たオッサンは金持ちってな♪)
そんなことを考えているうちにライが行動に出た。
「――ってぇな!どこ見て歩いてんだよオッサン!」
鴨の正面から来たライは擦れ違い様ギリギリの所で肩をぶつけた・・・無論、わざとだ。
だが、相手が悪いかのように睨み付ける。
そんな態度に相手が腹を立てない訳がなくて、
「君の方からぶつかってきたのだろう?!」
声を荒げる。
「あぁ?!てめぇの方からぶつかってきておきながら何言ってんだ!!」
「なんだって!?」
「あ゙ー絶対骨折れてるわ・・・どうしてくれんだよ!」
鴨の方はそう仕向けられているとも知らずヒートアップしていく。
顔を真っ赤にして怒鳴る彼にもはや周りは見えていない。
―――ここからが俺の出番だ
ライが鴨を引き付けている間に財布を抜く。それがテトラの役割。
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