友達-ナカマ-

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「ライっ・・・」 背中に向かって声をかけた。 「・・・なんだ」 ライは振り向かない。 テトラは唇を噛んだ。 「早く言え。俺も暇じゃない」 「・・・」 「・・・」 「・・・ごめん」 「・・・・・・・・・気にするな」 ライは振り返り自分より低い位置にあるテトラの頭をくしゃと撫でた。 「俺のせいでせっかくの・・・」 テトラは俯く。 「なんだ?今日は責めて欲しいのか?」 「ほんと・・・ごめん」 「もういい。あやまるな」 ライはそっぽを向き、またテトラを撫でる。宥めるように優しい手つきで。 「・・・」 しかしテトラの顔は曇ったまま。 ライは溜息をつくとテトラを正面からとらえた。 「怪我がないだけよかった。何て言ったってお前は・・・」 「俺の大切な・・・」 「大切・・・な・・・?」 テトラがライの表情を伺うようにそっと顔をあげた。 「ペットだからな」 「・・・・・・・・・って、はいぃっ!?今すっごい感動的なシーンだぜ!?」 しれっととんでもないことを言ってのけたライに一瞬固まったテトラ。 「ここは普通大切な友とか、かけがえのない仲間とかさ・・・」 肩を落としてぶつぶつ呟いていると、 「・・・ふっ、冗談だ」 あまり笑わない彼が 暖かい笑みを浮かべた。 「またな―――友よ」 そして暖かい言葉を残して、彼はその場を離れていった。 残されたテトラは立ち尽くす。 「ったく・・・」 孤独に怯えるのではなく久々の温もりを噛み締めていた。 「―――俺も帰るか」 大切な友との暖かい時間があるから 待ち人のいない寂しい家に帰れるんだ 「また、明日な」 伸びた影は幸せそうに帰路についた。
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