空色ノ唄-ホーム-

2/10
前へ
/49ページ
次へ
一般にまだ太陽が顔を出さないような時間、工場が稼動のサイレンを鳴らした。 冷え切った空気に響くその音は工場から離れた場所にあるにも関わらず、自宅のベットに沈むテトラの耳にまで届いていた。 「んん・・・」 耳障りな音を閉め出そうとするようにさらに布団をしっかり被る。少しの間もぞもぞ動いていたが、何かを思い出したかのようにはっと体を起こした。 「さむっ」 身震いしながら時計を見れば6時30分。まだ集合時間まで時間はたっぷりある。 ここで二度寝をしてもいいがたまには清々しい冬の朝を味わうのもいいか、と自分の体温で暖かくなっているベットから降りた。 サイレンはすでに鳴り止んでいた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加