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ふと女は顔を上げた。
ゴォォと大きな風が木々を揺らし草葉をさらっていく光景が目に入る。
「――――“ ”」
ぽつり。
聞き取れない程の声でそうつぶやいた。
女は目の前に立ち並ぶ木から目をそらし、こちらに向かってきている「それ」を見る。
「お姉ちゃーんっっ!」
遠くにいても聞こえる大きな、幼児独特の高い声。
それは彼女にとってもう見慣れた人物。
「お姉ちゃん!」
やっとの事で彼女のもとに辿り着いた小さな少女。息を切らしながらも向日葵の様な笑みを浮かべる少女は決して彼女の妹ではない。
少女は・・・
「お歌聞かせて?」
彼女の“お客さん”だ。
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