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薄手の長袖、
膝下くらいの長さのズボン、
そして首には今となってはトレードマークになりつつあるマフラー。
次にライを上から下まで眺めた。
ファーの付いたロングコート、
そのしたにはセーター 、
そして長ズボン。
ライと自分の服装を比べたあと、うーんと首をかしげた。
「殆ど変わらないと思うけど?」
「・・・上記のどこを見てそう思ったんだ?」
・・・・・・
「・・・って言うのは冗談として、」
(冗談だったのか?)
心中で疑問を抱いたがそこは流した。
「俺、金持ってないからさ服買おうに買えないんだもん!」
「語尾に『もん』を付けるな、気持ち悪い」
ライは眉をひそめる。しかしテトラはさほど気にしていないようだ。
「あー金降ってこないかな・・・」
「どこかのバカがミスさえしなければ今頃大量に金は入っていた」
「へーへーそりゃ悪かったッスね」
昨日のやっぱり根に持ってるなと口には出さず突っ込む。
「どうしても金が欲しいというのなら体を一、二個売ってこい」
「体は二つもありませんよーだ!もうボケが始まったかい?」
ひひっと馬鹿にしたようにテトラが笑うと、ライのこめかみがピクっと動いた。
「・・・さっきの言葉もう一度言ってみろバカ犬」
「はっ、やるか?ボケライ」
睨み付けてくるライを睨み返す。しかし
「ま、お前が俺に勝てるわけないがな」
ライに睨みは全くダメージを与えてないようで、はんっと鼻で笑われた。
「やってみないとわかんないだろ」
「これだから馬鹿は・・・」
少しのことでムキになり言い返すテトラに溜息を一つ贈る。
「また馬鹿っつった!今度こそ絶対膝付かせてやる!」
「ったく毎回毎回・・・いい加減学習しろ」
地団駄を踏むテトラに呆れた眼差しを向ける。
そして手に持っていた本を地面においた――その瞬間テトラが飛び掛かった。
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