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* * *
宛てもなくただふらふらと歩いていたテトラ。
道を照らす照明の数が少なくなってきたことからここは街のはずれに位置するのだろう。
「―――なんだ?」
ある線を越えた所で突然空気が変わった。
それは重く苦しいというものではなく、どことなく哀愁を感じさせる秋のような、そんな空気。
“パキ”
「ん?―――これは」
踏み出した際に踏んでしまったものを見る。古びた板だった。そこにペンキで文字がかかれている。
「“空色ノ唄”?」
汚れて読みにくくなったそれは店の看板だったのだろうか。
顔を上げると目の前に一つ建物が建っていた。それは存在してないようにひっそりと。
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