風飆-ツムジカゼ-

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びゅうと風と共に路地を掛ける少年が一人。 物にぶつかろうが人にぶつかろうがおかまいなしにひたすら走る―――― テトラ それが彼の名前。  *  *  * 「うわー!やべぇよやべぇよー!」 テトラはいつにも増して焦っていた。 走り続けてはや30分。しかし彼のスピードが落ちることはない。 テトラには急がなくてはならない理由があるからだ。 今日は〈彼〉に会う日。 つまり〈彼〉と約束をしているということ・・・いつもの場所に何時に集まるのかを。 集合時間は午前10時。 現在時計の長針は52分を指している。 いつもの場所に行くには家から約一時間はかかるというのに・・・ 「なんで寝坊なんかしたんだーっっ!!」 叫びながらテトラはかけゆく。
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