風飆-ツムジカゼ-

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「いってーな“風飆”!」 「あ、ごめんおっちゃん」 自分からぶつかっているので一応謝りながら走る。 「“風飆”!あんたうちの品物盗っていくんじゃないよ!」 「え、・・・あ、ごめん!このリンゴ代つけといて!」 知らない間に手にあったリンゴを齧りながら走る走る。 「おぃ“風飆”!」 「“風飆”ー!」 「こら“風飆”!」 「うぁーっっ!ごめんって!」 昼前の市場はテトラが通った場所からさらに賑わいを増していく。 まるでつむじ風のように周りまで巻き込んでいく彼を街の人々は “風飆-フウヒョウ-” そう呼ぶのだった。 「「「“風飆”ーっっ!!」」」 「だからごめんってばー!」 毎日の様に走る彼は 街のちょっとした有名人。 集合時間まで残り3分。
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