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あるところに、とてもかわいいお姫様がいました。
お姫様は誰からも愛され、大切にされています。
ほら、今日も彼女は誰かに名前を呼ばれています。
「姫ー! どこにいらっしゃいますか?」
「カナ。私はここよ」
黒い服に身を纏った者の声に、華麗に答えるお姫様。
お姫様を見て、彼は息をつきました。
甘い香りに囲まれたこの星は特別広いわけではありませんが、可憐な少女はいつ、誰にさらわれるかわからないのです。
“カナ”と呼ばれた執事は安心したような表情を見せ、お姫様の近くへ寄って微笑みました。
「ティータイムでしたか」
「ええ。とってもおいしいわよ。カナもどう?」
にっこりと笑ってティーカップを差し出しました。
慌てて顔の前で手を振るカナに歌のような笑い声。
「私にお心使いは必要ありません。ただの執事なのですから」
「あら。遠慮することはないのよ」
「いえ……。それではいただきます」
差し出されたティーカップを受け取ったカナは嬉しそうな表情を見せました。
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