Sweet Sweet Strawberry

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姫は夢を見ています。 それはそれは幸せな夢。 綿菓子の雲が散らばる空を飛ぶ夢です。 「姫、こんにちは」 「あら、太陽さん。こんにちは」 ニコリと笑う姫に太陽も激しく光りました。 「暑いわ」 「そうかい?」 「ねえ、太陽さん。お空の世界って楽しいわね」 「うん、そうだね」 太陽はうれしそうに答えます。 すると、白い物と黒い物が姫をくるくると囲みました。 「姫様、こんにちは」 「あら。鳥さん達、こんにちは。綺麗な羽ね」 「姫ほどではないさ」 一羽の白い鳥は姫の周りを跳ねるように飛び回り、黒い鳥はウインクをしました。 「あら、まあ」 「姫はこの星一美しい」 「甘い香り漂うストロベリー星の美しい姫。君は気をつけなければいけないよ」 「そうだ」 鳥達は忠告をするように眉間に皺を寄せて言いました。 同時に、不安そうな表情を見せます。 青かった空はどんよりとした灰色に変わり、太陽はいつの間にか隠れてしまいました。 「どういうことなの? 鳥さん達」 「君は気をつけなければいけない」 もう一度、黒い鳥は言いました。それは何かを怖がっているかのようにも見えます。 「いつか、君を奪いに“彼ら”はやってくる」 「え?」 鳥達がそう言った途端、姫の世界は真っ暗になり、何も見えなくなりました。 .
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