二人

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――数十分後 「ほほぉ。つまりお前らはその“化け物”なるものを探しにここまで来ちまった、と」 「はぃ……」 「わ、私は違います!」 「僕も違う!」 「えぇ!? この裏切りものー!」 「あーあー! 分かったから! ほら、お前らやめやめ!」 途切れ途切れにだったがシグルは洗いざらい話してしまい、今のこの状況に至る。ちなみに、トトとキリアがこんな調子でちょくちょく自己主張をはさんできて、それからシグルと言い争い、そしてそれをヴィスがなだめる……の繰り返しだったので結構時間がかかってしまった。 「それにしても――」 しゃがんでいた体勢から腰をゆっくりとあげ、伸びをしながらシェーネの方を振り向くヴィス。 「こんなガキ共にも人気者とは、やるなあシェーネ」 『やめてよお。僕だって好きでこんなことになってるわけじゃないんだから……』 と、少し拗ねた調子でぶっきらぼうに言葉を返す。 「じゃ、じゃあ! そのおっきいのが本物の化け物なの!?」 シグルが目を輝かせながらそんなことを言ってきた。 どうやら、二人のその会話からその考えに至ったらしい。 「…………」『…………』 一人と一匹は、ほぼ同時に互いの目を合わせる。少し困った様な表情で。 そしてヴィスが一つ大きなため息をつき、やれやれといった感じで一言。 「さぁな。お前らの村の噂なんぞさっぱり知らねぇから、俺にはなんとも言えねぇよ」 「えー……でもぉ……」 まだ何か物言いたげなシグルだったが、ヴィスの表情からこれ以上は無理だと悟ったようだ。子供ながら、空気が読めるとでもいうのかなんというか。
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