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「よし、じゃーお前ら帰った帰った。化け物探しなんぞするもんじゃないぞ?」
三人共、渋々頷く。
「よしよし。子供は素直が一番だ。村の近くまでは俺も付いていってやるよ」
こうして、三人は村まで送り返されることになった。
『じゃーねー』
「あ、そうだ」
村まで戻っている道中、四人でそこそこ雑談も交わしている中、キリアがふと何かを思い出したように口を開いた。
「ヴィスさん、でしたよね? 何でヴィスさんは森の中にいたんですか? 村の人でもないみたいですけど……」
「あー、それはだな……」
言葉が途切れる。
それも長い時間。
それはあまりに長く、
あれ? わたし何て質問したんだっけ? ていうか何でこんな静かになったんだったっけ? あれ?
と、キリアが考えてしまうほど。
「――お、着いたぞ」
そのまま沈黙がだらだらと続いてしまい、とうとう村に到着してしまった。
「よっしゃぁ! 帰って来れたぁ!」
「はぁ……もう帰れなくなるかと思ったよ……」
シグルとトトは、村に無事帰ってこれて安心したのか早々と村の中へと走り去っていってしまった。
「お前は早く帰らないのか?」
二人と違って、キリアはまだ帰らない。ヴィスの横に、立ったまま。
「さっきの答え……」
「あぁ、それか……」
自分について、聞かれてたな……
そのさっきと同じように、やはり彼は黙りこんでしまう。
「あ、でも答えたくないなら……」
「ハーヴィスト=イナ=デステビア、だ」
「――え?」
キリアの言葉を遮るかのように、彼はそう呟いた。
「大人共にでも聞いてみな。何か知ってるかも知れないぜ」
そう言ったかと思えば、彼はさっさと背中を向け、手をひらひら振りながら、すたすたともと来た薄暗い森の中へと歩いていってしまった。
「……変な人だなあ」
取り残され、もうどうしようも無い。キリアは素直に帰ることにした。
日も暮れ、空には途方もない赤色が広がっていた。
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