プロローグ

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「ふふ……」 とある家の とある部屋 たくさんの本が至るところに山積みにされ、窓から入ってくる陽の光が行き場に困っている。 しかし、壁際に置いてある木製の古びた机の正面の窓からだけは、周りに遮るものが無いので日光が元気よく降り注いでいる。 「懐かしい……昔を思い出すな……」 そしてその机の前の椅子に腰掛ける一人の女性。 絹糸のように綺麗な青髪。 吸い込まれそうなほど澄んだ碧眼。 端正で、二十代ほどに見える顔立ちだ。 手には何度も読み返したのだろうボロボロの絵本を持っている。 「お前は……元気か?」 開いていた絵本を閉じ 窓の外に広がる、一片の曇りもない突き抜けるような青空を見上げ そう呟く。 「私は元気だぞ……」 まるで 愛する人へと思いを馳せるように。 まるで 全てを包み込む女神のような、優しい声で。
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