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『…………』
「う…うぁ……」
鋭い眼差しで三人を静観する“化け物”。
“化け物”に見つめられその場に立ちすくむ三人。
まるでここの空間だけ時間が止まっているかのようだ。
『なんで……』
と、“化け物”が先に口を開き沈黙を破る。
『何故にんげんの子がここにいるの……?』
鋭い眼光。長く伸びた一対の髭。粗いやすりのような鱗。
いかにも猛々しそうな生き物だが、声だけは温もりのある、女性的な優しい声をしている。
『この森はもう長い間人は入ってきていないのに……。何かあるといけないから君達は早く日の高い内に帰った方がいいよ。多分、ユバロ村の子だろう?』
ユバロ村。
この三人の住む村の名だ。
「な、なな何でお前が、村の名前を知ってんだ!……ていうかお前が例の“化け物”なのか!?」
シグルがなんとか絞り出した声でそう叫ぶ。あとの二人は今にも失神しそうにしている。
『“化け物”……?』
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