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「うぉ……きったない海ぃ」
どうも、まひるです。
華の女子高生、趣味は昼寝、特技は特になし。アピールポイントとしては、ここ2年は風邪すら引いてない事。
さて、ただ今、和歌山にやって来ています。
何処を歩いても香る甘酸っぱい蜜柑の匂い。ついでに言えばツンと梅の匂いもした。
さすがというかやっぱりというか。イメージそのままの、のどかで素敵な町でした。
まぁ、とにもかくにも林檎派の私としては、もう充分なのだけども。
そんな訳で、重たい旅行鞄片手に歩き続けた私。名前も知らない山を下ったところで見えたのは、視界いっぱいの海だった。
和歌山には白浜という観光地でも有名な綺麗なビーチがあるのだけど、私が来たのはそんな所じゃない。
荒れた手入れのされていない自然の海。そんな人目につかない場所だからこそ、海はより人間に汚(けが)される。
浮いた空き缶に瓶、油で濁った水面、ふわふわと浮いた深緑のプランクトン。
水質汚染を絵に描いたような海だった。
でも、磯の香りは好きだ。
ただ、真冬の寒さはいただけない。
「何が【紀州ぐるっと巡り旅~】だよ、あの親父」
私は小憎らしい顔を思い出し、深い溜息を吐いた。
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