30人が本棚に入れています
本棚に追加
三日前、僕は死んでいた。
そのことに気付いたのは、たった今のことだった。
朝、いつものように欠伸をかき、いつものように限界まで惰眠を貪り、いつものように眠い眼をこすりつつ、家の階段を降りていく。
その時だった。足の先がないことに気付いたのは。くるぶしから下がカメレオンのように周りに溶け込み、見えなくなっていた。いや、消えていた。
しかし、現状僕は直立できている。首を捻りたくもなるだろう。
ともかくまだ寝ぼけているんじゃないかと疑いつつ、居間にいる両親に意見を求めた。足を差し出し、その状態を尋ねる。
結果はやはり僕の頭の方がおかしいらしい。二人とも何を言っているんだ、と笑った。
僕は元来冗談を言わないタイプだが、そんな僕でも人を笑わせられるのだと、その時気付いた。
最初のコメントを投稿しよう!