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「……相変わらず朝駄目なんだな、理緒って」
「あぅあぅ。夜遅くまでネトゲにニコ動にetc.ですからねぇ」
「廃人一直線コースね……。理緒が将来お兄さんに養ってもらってる姿が容易に想像出来るよ」
3人が眉間の皺を揉みながら首を横に振る。と、「う~……」と唸りながら理緒が顔を上げた。
「いいですぅー。いざとなったらカズに永久就職するからー」
「いや、恥ずかしげもなくそんな事言ってのけるのには感服だけどよぉ」
「家事が出来ない理緒がそんな事したら、本格的に駄目になるよ?」
「えー? あはは、まっさかぁ」
ケラケラと笑う理緒を見て、3人がその未来を想像してみる。設定は、結婚して3ヶ月の夫婦。
『ただいまー』
『お帰り、カズ。聞いて聞いて! 今日ね、私の投稿した動画がランキング1位になったんだ!』
『へ、へぇー。凄いね』
『うんっ。あ、ご飯まだ?』
『……い、今作るよ! って、うわあ! 洗濯機が爆発してる?!』
『わ、私、自分なりに頑張ったんだよ……? なのに……ふぇ……』
『だ、大丈夫だよ! 俺が片づけとくから! 理緒は無理しないで、ね?』
『う、うんっ。じゃあ私暇だしネトゲやってくるねー!』
「「「………………っ」」」
何故だろう。妄想なのに、現実じゃないのに、涙が溢れて止まらない。
その時教室のドアが開き、上条さんばりのウニヘアーの男子が、「おはよー」なんて呑気な挨拶をしながら入ってくる。悲惨な未来の主人公、柊和樹である。
「はよー……って、何で3人共泣いてんの?」
「不憫ね……」
「カズ君、強く……生きてくださぁい……っ」
「私、応援するからなっ!」
「え? 何これ。俺死ぬの?」
「それに近いですぅ……」
「近いの?!」
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