第一場

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「俺の名前は池上あきら。10年前に両親は死に、いわゆる浮浪児になった。それから大変な思いをたくさん味わった。まだ7つだった俺は路上に一人ぽつんと捨てられ、まるで元から居なかった存在かのようにたった一人で生きてきた。 …色々やった。生きる為に、生きたい為に。仲間と一緒にスリ、引ったくり、強盗、…相手を殺してしまいそうになった事もある。警察からずっと逃げては罪を犯し続けていた。 それから、いつしか俺は荒んでいる自分に気がついてしまった。 でもそんな俺にも、一つの夢があった。そう。10年前に生き別れたたった一人の家族の弟を捜すというものだ。 …ずっと捜してる。でもこれといった情報も無い。 俺は絶望してしまった。生きる希望も、もはや消え失せた。 金も無い、犯罪者だ。浮浪児で、家も無い。 何が希望だ。 …だから俺は決めた。こんな人生から逃げる為に、自分で自分の息の根を止めてやろうと。 そうだ、この拳銃で脳天を貫こうと。 まだ見ぬ弟よ! 俺は死ぬ! いつか向こうで会えたら良いな。待ってる。兄ちゃんはずっと待ってるから。 さよならだ。」 暗転 拳銃の音 少しずつ明かり あきら、倒れている そこに白スーツの男が登場 イエス「おい。いつまで寝てんねん。はよう起きろや」 あきら引っ張られる あきら「え、え!な、なんで!俺、拳銃で頭を…なんで死んでない!」 イエス「簡単に死ねると思うなよ?お前の犯した罪はスリ85件、引ったくり102件、強盗150件…はぁあーこんだけよう犯しよったなぁ? 悪いけど、その体はもう死ねない体になっとるさかいに、この地獄の世界をちゃんと生きやー。」 あきら「ちょ、ちょっと待てよ!あんた誰だ?それに死ねない体ってどういう意味だよ!」 イエス「自己紹介がまだやったな。俺の名はイエス。まぁいわゆる神様っちゅーやつや。 お前は罪を犯し過ぎた。よって死ぬことは赦されない。お前にとって生きることが1番の絶望やろう?せやから、死なない体にしたった訳や。これがお前に与えられた罰やわ。うん。 まぁ頑張り。たまに覗きに来るさかいに。ほならなぁ。」 イエスはける あきら「ちょっと待てよ!待てってば…待てよ…どうなってんだよ…死ねない体ってどういう意味だ? …とにかくもう一度試してみよう。俺は死にたいんだ!」 あきら、拳銃で打つ 間。 あきら「 え、え、え!ああああああ!!!」
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