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そう補足を入れたのは、先程から生徒指導室の壁際に“休め”の姿勢で立っている、町田刑事だった。
俺と言い争っていた時の様な“ヤンキー口調”じゃ無かったので、一瞬誰が発言したのか分からなかった。
となると、あのヤンキースタイルは、相手を揺さぶる偽装なのか……はたまた逆に素なのか……
チラッと横目で町田刑事を見ると、ちょうど目が合う。
フンッと、町田刑事は鼻を鳴らし、そっぽを向いた。ヤンキーが素なのかも。笑える。
「補足説明ご苦労。
事件当時は4時限目と5時限目の中休みの間だったが、被害者の落下は3年4組生徒が大勢見ていた。
まぁもっとも、生徒達の大半は、それが人間だなんて視認できちゃいなかったんだが」
ボスンッという大きな音に、教室全員が窓の外に注目する。
初めは何が起こったのか分からず、不思議そうに眺める生徒達。
その内誰かが叫ぶ。“人だ!人が落ちてきたッ!!”と。
速水刑事の説明を元に、俺はそんな風景を想像する。
それはそれは、驚き、興奮しただろう。
人が、何かしらの事件に直接関わる。そんなレアケース。
しかも、直接関わらない第三者。様々な思いが、頭を巡っている筈だ。
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