1.生徒指導室の憂鬱

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そんな『人間の鏡』の様な生徒と、ごくごく平凡な生徒の俺と。 どちらの証言を信じるかなんて、百人中百人が前者を選ぶだろう。 その上、俺の証言は、自身の保証すら危ういものなのだから。 「と、ここまでが大筋の流れになる訳だが……。」 何か質問は?と、聞かれ、俺はふと疑問に思った事を述べた。 「そもそも、なんで伊沢先輩は屋上にいたんですか?」 そうだ。考えてみれば、なんでこんな根本的な質問をしなかったのか。 ……自分が犯人ではないかと疑われたのが、思った以上に堪えていたのだろうか。 「良い質問だ」 速水刑事がニヤリと笑う。 「但し、説明は2回目だがね」と付け加えて。 最初の説明で俺が“心ここに在らず”ということを、どうやら見抜いていたらしい。 ハァ…。不甲斐ないにも程がある。 「さてその理由についてだが、俺達はまだ被害者の生徒に会っていないので詳しくは分からん。 ただ、関係者からこれまで聞いた話からするとだ。 どうやら被害者は事件が起きた休み時間に、後輩の生徒と屋上で会う約束をしていたらしい。」 「後輩の生徒……ですか……?」 「テメェも知ってるだろ。テメェの後に屋上に行ったっていう、やたら騒がしいのと、小動物みたいな娘だよ」 そう答えたのは、町田刑事。
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