311人が本棚に入れています
本棚に追加
かん高い、狐の笑い声が聞こえる。
それは深い暗闇の中で反響し、いつでも私の中から消える事が無かった。
忌々しい、その狐の周りには、いつも可愛らしい小鳥が飛んでいた。
白い羽を広げ、狐の周りを羽ばたく小鳥。
きっと何も知らないのだろう。
貴方が歌を聴かせる狐がどんなに醜悪で、その狐が私をどんな目にあわせたのか。
それさえも。
私は只、平凡な生活を送っていただけなのに。
これから先も、ずっと。
ああ、自己憐憫に浸るのは嫌いな筈なのに、ずっとそのことばかりが頭を巡る。
心の中であの狐を殺すと、心の闇が少し晴れる。
心の中であの小鳥の羽を毟ると、少しだけ笑顔になれる。
だから復讐を心に決めた。
最初のコメントを投稿しよう!