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男として生まれたからには一度は憧れる物、それは『ヒーロー』と呼ばれる正義の味方だ。
一方で、世間からは『ヒール』と呼ばれる悪役達に憧れる連中も、少なからず存在する。
例えば、『時を停止させる吸血鬼』だったり、『仮面を付けたロボット乗り』もそう。
『名前を書いて人を殺す』あの漫画の主人公も、『ダークヒーロー』に分類される立派な悪役だ。
そして俺もどちらかと言えば、そんな『悪役』に心踊らせる人間の一人。
『悪の美学』を徹底し、ヒーロー達との戦いの果てに、壮大な最期を迎える………
正に“漢”(おとこ)!
……と、ここまで『ヒール』について少し称賛を述べた訳だけど、それと今、『俺が置かれている状況』は全然関係無いと、初めに証言する。
俺が好きな『ヒール』はあくまで二次創作の世界であって、俺自身が悪者になりたい訳じゃ無い。
ましてや、『犯罪者』や『容疑者』になんて、一生なりたくねぇのである。
それなのに俺は今、絶賛取り調べ中の参考人の一人で、目の前には『西部警察』や『太陽に吠えろ』から飛び出してきたような、いかつい二人の刑事が、俺を睨んでいる。
だが、これだけは言っておきたい。
「俺は無実なんですって!!」
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