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「いやあ、どうも。葛城司令ですか?ネルフ月面支部ですが、いやいや、何の連絡も無しに突然申し訳ない、今からそちらへ飛びたいのですが、ジオフロント入場の許可を…と思いましてー」
今年の夏も暑かった。
噎せ返る様な日光に、アスファルトの照り返し、正に灼熱地獄の外。ミサトにとって冷房の効いたNERV施設内は正に天国である。
そんな真夏日の丁度昼だ、剽軽な声色の男から何とも間の抜けた口調で電話がかかって来たのは。
彼女が知る限り月面にNERVの支部なんて無い。ミサトは初め、悪戯だと一蹴していたが、リツコの一言で事態は一転する。
「あるわよ。秘密裏で活動していたわ。三年前の事件で消滅したとばかり思っていたけれど」
「えー、何よそれ。私が司令になった時点で伝えるべきじゃないの?ま、良いけど。消滅したんなら、やっぱり悪戯電話よ、悪戯」
そんな事より今年の予算使い切りそう、と情けない表情でミサト。
悪戯とは思えないのか、リツコが無言でスーパーコンピュータのキーを叩き出す。
「悪戯と決め付けるのは早いんじゃないかしら?月面支部なんて、合って無いようなものなのよ。ゼーレ直通の管轄なんだから」
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