《一章-青空の下、慟哭-》

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 不と碇シンジは物憂げに窓際を見る。あれから三年、ついに父さん――碇ゲンドウの遺体は出てこなかった。死亡とされてはいるものの、シンジはそれを受け入れる事が出来ずにいた。  窓際には見馴れた顔、三年前よりは幾分伸ばした青い髪に赤い目、透き通る様な白い肌。整った顔立ちは、いつも無表情で良くも悪くも人形の様。  でもそれは皆の印象であり、シンジの印象は違う。自分に見せてくれる表情の変化は三年前のそれよりも確実に豊かだった。 「綾波、今日は暑いね」  彼女との関係もまた、健全に進行していた。素直に好意と認める事が出来たし、何よりこんなとりとめの無い会話を出来る様にもなったのだ。  これは僕にとってすごく喜ばしい事ではあるし、ある種優越感みたいなものも抱いていたりする。 「……そうね。碇くんはお昼食べないの?」  サンドイッチを鞄から取り出した綾波が首を傾げる。どうやら彼女の今日の昼飯はそれの様だ。こんな暑くなるなら僕もサンドイッチみたいな軽い食べ物にするべきだった、と少し悔いた。まあ、彼女はいつも少食なのだけれど。
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