《一章-青空の下、慟哭-》

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「なんやなんや、また綾波と飯かいな。付き合い悪なったのぉ、先生」  不と気付けば、彼の親友である鈴原トウジが、いやらしいにやつきを浮かべていた。 「べ、別にそんな事ないよ。暑くて食欲が無かったんだ」  慌てて弁解に似た言い訳をするシンジ。素直に彼女への感情を認めているとは言え、気恥ずかしさは変わらない。  そんなシンジとトウジに構わずサンドイッチを口へと運ぶレイ。  三年前の惨劇以前の平和だった日常が、また此処に在った。少なくともこの瞬間には。 ―――ゴゥゥゥゥゥ  突如、日常を遮るのは耳をつんざく様な爆音。クラスの数人が廊下へと誘われる様に出た。  それに続いて、興味本意では無く、ある種の使命感で飛び出す様に廊下へ出るシンジとレイ。  窓から校庭を見ると暗い。まるで校庭だけ日がさしていないかの様に暗い。は、としたようにシンジは上空を見上げる。  そこには、広大な校庭からはみ出るのでは無いかと言う程巨大な鳥――否、航空機が在った。 「バカシンジ!ファースト!」  聞き慣れた仲間の声に振り返る二人。朱茶色の綺麗な長い髪をツインテールに結いだ一際目立つ美人、惣流・アスカ・ラングレーだ。
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