14人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
不と白い影が、大和の視界に入る。それからピピピという警告音。
「…遅いんだよ」
視認してから警告が鳴っても意味は無い。まあ、良いか、と小さく呟くと、ゆっくりと近付いてくる相手に向かって槍を構えた。
◇◇◇
「あー、やっぱり。座標は?っていうか何匹?」
特徴的な円眼鏡に中肉中背の男が緊急事態に似つかわしくない、何とも間の抜けた口調でオペレーターらしき女性に言う。
様々なコンピュータやモニター、計器がある室内は指令室の名を冠していた。
「座標は三、五。数は四です、これは全体のちょうど五割という事になりますが」
「んー、わかるよ、その五割ってのは。まあ、良いや。んじゃ軌道上衛星のA.A.T.F.を展開、上手く軌道上に乗っけれたら、S波照射。type-C.B.殲滅後、直ちに地球に降下する。一匹ずつ引き摺り降ろして殺していくしかないでしょ」
さて、と呟き向き直るモニターには、黒い巨人と白い巨人。
おおよそ間合いであろう二体は、戦闘を始めようとしていた。
「ほらほら、それより良く見ておきなよ。これからの模擬戦なんだから、やっと戦わせれるね、僕の特設機」
愉しげに口角を吊り上げ、目を細める円眼鏡の男は、まるで映画のクライマックスを観る様にモニターを眺めていた。
◇◇◇
最初のコメントを投稿しよう!