531人が本棚に入れています
本棚に追加
「………………」
「………………」
「………………」
二人は湊達を拐った男達が身につけていた黒衣を手に、茫然とするカリフと見つめ合う。
辛うじて下は穿いていたが、半裸に片袖を通して固まる姿は中々に間抜けな構図だった。
「これは…………どういうことだ……?」
「無事か」
ホッとしたように、サイフが呟く。
「『力』を使いました」
「湊…………」
「この部屋の中では、貴方の力も使えません。サイフと私に危害を加える事も」
「…………」
「貴方とサイフが言い争う原因になった理由を教えて貰えませんか?」
「それは…………」
「湊も知っておくべきだ」
止めようとするサイフを遮り、カリフは中途半端だった上衣を着て、二人に寝台に座るように言う。
自分は窓際に置かれた簡素な椅子を引っ張って来て、二人と向かい合いように座った。
「これが本当かどうか、確かめた人間はいない、俺もカザフから聴いただけだ」
そう言ってから、カリフは口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!