踏み出す一歩

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「………………」 「………………」 「………………」 二人は湊達を拐った男達が身につけていた黒衣を手に、茫然とするカリフと見つめ合う。 辛うじて下は穿いていたが、半裸に片袖を通して固まる姿は中々に間抜けな構図だった。 「これは…………どういうことだ……?」 「無事か」 ホッとしたように、サイフが呟く。 「『力』を使いました」 「湊…………」 「この部屋の中では、貴方の力も使えません。サイフと私に危害を加える事も」 「…………」 「貴方とサイフが言い争う原因になった理由を教えて貰えませんか?」 「それは…………」 「湊も知っておくべきだ」 止めようとするサイフを遮り、カリフは中途半端だった上衣を着て、二人に寝台に座るように言う。 自分は窓際に置かれた簡素な椅子を引っ張って来て、二人と向かい合いように座った。 「これが本当かどうか、確かめた人間はいない、俺もカザフから聴いただけだ」 そう言ってから、カリフは口を開いた。
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