踏み出す一歩

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「さっきの言葉は、湊の世界のものか?」 「うん。この部屋に誰も入れないよう、封術が使えないようにって」 「シリウスの力も?」 「『シリウス』は私のいた世界では星の名前なの。意味は『焼きつくす』。私、塔の天辺に追いつめられて、咄嗟に願った。『ここにシリウスが飛んできて、その名の通り、焔でこの寒さを払ってくれればいいのに』って。だからシリウスは飛んで来てくれたんだと思う」 今は厩(うまや)で休んでいるだろう。 勿論、そこにも守りの『呪』をかけている。 この世界に来て、自らの意志で「力」を使ったことはなかった。 けれど、この北の地でサイフの危険を知ったとき、無意識に『言葉の力』を使っていた。 湊はそれを恐ろしいと思う。 けれど、今はこの「力」を手放すわけにはいかない。 何があっても、サイフを守り、レユニオンを助け出さなければ………… だけど、その前にするべきことがある。 『カリフ、ここに来て』 湊がそう言葉を発した瞬間、光と共にカリフが姿がを現した。
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