旅のはじまり

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************************** 両親が離婚したのは 小学生の時だったと思う。 理由はよくわからないが、物心ついた時から父はほとんど家にはいなかった。 時々しか帰って来ないその人に小さかった湊は「また 来てね」と声をかけて 母に苦い顔をされたのを覚えている。 それでも子供の頃の湊は父の事が大好きだった。 たまにしか会わない湊と兄を父はとても可愛がってくれたし、一日中トランプやゲームにつき合ってくれた。 父に別の家族がいると知ったのは中学の時。 夜中の母の電話で「あ…そうかぁ」と察した。 その事実はかなりショックだったけれど、それよりも父との電話で泣き崩れる母の声を聞く方が辛かった。 それでも母は湊の前では一言も弱音を吐かなかった。 親戚の飲食店で夜遅くまで働いて、家事もこなして。 母が倒れたのは3ヶ月前。 短大への推薦入学が決まった翌日だった。 母が勤めていた親戚の飲食店から電話があり、慌てて病院に向かった。
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