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ザアザアと音がする。
波の音…じゃない…湊はゆっくりと目を開けた。
暗い…軽い息苦しさを感じて身を捩ると、身体を覆っていたものがドサッと滑り落ちた。
途端に突き刺すような日差しが降ってくる。
「眩しい…」
一瞬視界が真っ白になった。
だから 目の前にある大きな背中に、暫くは気づかなかった。
「気がついたか?」
湊はびくりとして声の聞こえた方を向く。
彼は背を向けたまま振り返り湊を見た。
(青い瞳…)
それが第一印象だった。
浅黒い肌、くっきりとした顔立ち、肩まで伸びた黒い髪を後ろで束ね、 長い外套の背からは剣の柄がのぞいている。
ふと「戦士」という言葉が頭に浮かんだ。
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