プロローグ

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  「対象の左上、後方ですが──ここにいる男」  男達の中央に鎮座する高平幸雄(たかひら ゆきお)警部補は、顎をしゃくりながら秋月に問うた。 「右側の、女に見えるが……その人物と二人組のように見えるが?」 「これもヤマに依頼したところ、右側の人物は女であるという回答を得ました。カップルは偽変でしょう。女もまた、男の仲間です」 「我々以外に、彼女を追尾している者が?」  秋月は、パワーポイントで二枚目の写真の横に、再び三枚目を出した。 「二枚目と三枚目の写真、もはや確証とするに十分足り得るものです。我々以外の者が彼女を追尾していた──そう考えるべきです」  三枚目の写真もやはり、駅のホームで電車を待つ秘撮対象の四人後ろに、グレーのスーツを着た面長の男が並んでいる。
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