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高平は切れ長の両目に鋭い眼光を湛えながら、その視線を秋月に向けた。
「三年前か」
顔を左に傾けた。
「武井。東京ドームでの秘撮の際に、何か感じるものはなかったのか」
うーん、と唸った後で、武井は答えた。
「SR(シーズン・レポート)に書いた筈ですが……すみません」
「上から引き出せ。三年前なら、まだ残っている筈だ」
「国内担当のレポートに埋まって、
どこかに消えてなけりゃいいんですがね」
冬に五十路を迎える、班内最年長の巡査部長高橋浩太(たかはし こうた)は嘲り気味に言った。
「一応、今は上で一元化されていますから」
年長を立てる穏やかな口ぶりの高平だったが、高橋はそれを途中で止めさせた。
「サクラの時だってそうだった。情報の一元化。結構な事じゃねえか。俺が言いてえのは、消すか消さないか、情報の取捨選択は奴らにあるって事です」
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