プロローグ

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   百戦錬磨の高平もその事は無論わかっていた。SRがあればそれを読み取れば良いし、無ければ、それは消されたという事だ。消すに足る理由があった。そういう事になる。どちらにしても端緒と成り得る可能性がある。高平はそう判断した。  それよりも、だ。三年前の秘匿作業を、メンバーが殆ど変わっていないにせよ、何の相談もなく突然突き上げてくる秋月の真意が何処にあるのか、高平はそれをはかりかねた。  いや……。 「心当たりがあるのか」  流石に班長だ、と秋月は思った。  言うべきか逡巡したが、高平の目に気圧された。 「学校で見掛けた男に酷似しています。いや、酷似というよりは、間違いなく本人であるという確信めいたものがあります」
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