プロローグ

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 やはり、と高平は思った。武井が割って入った。 「学校? 大学か。お前の学生時代の話か?」  秋月は軽く頭を横に振った。 「中野です」  武井はじめ室内の誰もが言葉を失った。その地名が持つ意味を、全員が理解していたからだ。 「中野で、佐藤と名乗っていたその男と直接会話をした事はありませんでしたが、ヤマの解析結果や全体像が、彼とあまりにも……」  佐藤という名前は間違いなく偽名だ。秋月も、谷山圭二という名で『中野の学校』に入校した。  「秋月」高平が顎に右手をあてながら、「詳しく話してくれ」 と先を促した。 「四年前、私は学校に入校しました。皆さんもご存知のように、出来る事ならば思い出したくもない、地獄の日々でした」  メンバーのうち三人が、苦い顔をした。
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