プロローグ

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  「とにかく、最大の問題は彼女が今、どこで何をしているのか、我々はそれを全く知らないという事だ。それを知るには、どうするか。  一旦、原点に戻ろう。  秋月がそうしたように。  発見したところでエー(協力者)にするわけではないが、三年前の彼女のキチョウ(基礎調査)から始めよう」  作業班の何人かは、すぐに、警察庁警備局が借りた長崎市内の四階建てビルの一室から飛び出した。  暑い日だった。8日連続で真夏日、つまり三十度以上らしい。  直ぐに汗が滴り落ちる。それぞれ散り散りになった班員達はその汗を拭きながら、道行くサラリーマンに同化していった。  
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