プロローグ

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 ―3―  二○○○年夏 長崎県  「この写真を御覧下さい」  六畳ほどの狭い部屋、その天井から吊り下げられたスクリーンに、それは映し出された。  長崎県警警備部外事課秋月大輝(あきづき だいき)巡査部長は、スクリーンの前を歩きながら話を続けた。 「これは、三年前の五月に秘撮されたものです」  一人の少女が何の変哲もない普通の道を歩いている姿を捉えた、前方からの完全秘匿による撮影写真だ。  椅子に座りスクリーンを見る十人からの男達は、特に表情を変える事もない。 「次に、こちらの写真」  パソコンのマウスをクリックする。 「こちらも三年前の八月、秘撮場所は東京ドーム」 「夏休みで、人気アーティストのコンサートだった」  一番右側の椅子に腰掛けていた武井寿一(たけい としかず)巡査部長が口を開いた。
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