プロローグ

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  「おれが撮った」と紹介を続けたその写真は、ドーム外周の舗道に溢れる人の波を、少女を中心に据えたものだった。  秋月は、頷きながら言った。 「次の写真です。これは二年前の六月」  これもまた、少女の写真。駅のホームで何かの本を読みながら電車を待っている。  秋月はスクリーンの横に立ち、皆を見渡した。 「これらの写真、同一の少女を秘撮したものですが、 いずれも気になる点があります」 「気になる点?」 「当該人物の特異動向ではありません。 しかし、極めて不審な、そして我々にとって決して看過出来ないものです」  メンバーは沈黙を貫いた。秋月の次の言葉を待った。 「これら、私が提示した三枚の写真、そのいずれにも不審な人物が写っているという事です」 「なんだと……?」  秋月から向かって一番右側の椅子に座っていた男が、目を見開いた。
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