死祭

日々

ガタンと扉が観音開きに開くと、台車が勢いよく進入してきた。

明和運送の島地が新しいマンガ雑誌を運び込んで来た。

哲平は待ってましたとばかり、島地の搬入を手伝った。

『松屋さん、レジお願いします』

最近リストラされた40代の松屋にレジ担当を任せ、哲平はハンディで検品を次々済ませていき、ビニールを破き、棚に陳列していく。

『今日はバルカンの発売日だから、仕事が早いな』

バルカンとは、哲平がお気に入りのマンガ雑誌だ。

中でも【スラッシュ】というバトルアクションマンガは哲平と島地のお気に入りだった。

島地は哲平より３つ４つぐらい上だろうか、実際に年は聞いた事はないが、ガタイは良く、頭にいつも【スラッシュ】の人気キャラクター【アカツキ】を思わせる赤いタオルを捲いている。

目が悪いせいか黒縁メガネと、顎の下から生えたホクロの毛は余計だった。

いつかこのホクロ毛を引っこ抜きたい、という小さな欲求を持ちながら、哲平は島地と仕事をこなし、トラックを見送った。