二人の川原

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川原になんだかヘビーな空気を纏った男子生徒が座っているけど、どうしたんだろう。まさか自殺なんてしないよね……? とかなんとか。とにかく、心配して話かけてきてくれたらしかった。 「はぁ……。……あの、俺そんな酷い顔してますか?」 「うーん……まぁそこそこだけど、個人的には顎のラインがもう少し細い方がいいです」 「いや、顔の造形のことじゃなくて……」 「うーん、なんかもう人生に絶望して死にそう……みたいな感じですね」 「そ、そんなに酷いのか……」 「よ、余計に暗くなった!?え、えっと……なにか、あったんですか?せっかくだし、あの、私で良ければ相談にのりますけど……?」 そうして、話を聞いてもらったのがつまりはきっかけだった。 その翌日の放課後も川原で過ごしていると、彼女が声をかけてきてくれた。その翌日も、その次の日も。だんだんと俺達の間で放課後の川原で会うのが日常になってくる。挨拶は次第に小話に変わり、いつの間にか放課後から夕暮れまでの間、川原で雑談をするのが俺達の習慣になっていった。
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