二人の川原

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彼女は委員会やら何やらがあるらしく、だいたい俺が先に川原に着いて待っていることが多い。その間に今日は何を話そうかと考え、毎日毎日飽きずに彼女とくだらない話を続けていた。夏、秋、そして冬は寒い寒いと言い合いながらも何故だか笑って話していた。 でも、それ以上のことは何一つなかった。休日に二人で会う約束もなかったし、たまに学校ですれ違ったりしても言葉を交わすことはしなかった。 人前で話をするのはお互いなんとなく気恥ずかしかったし、それに、たぶんそれがある種の境界だったのだと思う。 友人と、恋人としての。 放課後という限定された時間の中で俺達は確実にお互いのことを知っていった。俺は同級生の誰よりも彼女のことを知っている自信があったし、彼女は俺のことを誰よりも知っているだろう。 家族でも恋人でもない、ただの友人だというのに。 あれから1年経って、俺達はそんな関係になっていた。
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