二人の川原

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高3の夏。放課後。俺達はいつも通り、川原へと来ていた。 最近の話題はもっぱらお互いの進路についてだ。どちらもまだ具体的な進路が決まっていないためか話をしては憂鬱になり、また話しては憂鬱になりという無限ループを繰り返していた。 「あーあ、卒業まであと少しかぁ~。なんか嫌だなぁー。鬱々」 「あぁ、そうだな」 「むー、なんかつれない返事だねぇ」 「ん?あー……悪りぃ。ちょっと……考え事してた」 「えー……。どーせまたエッチなことでも考えてたんでしょ!」 「ち、ちげーよ!なんでそうなるんだよ!というか『どーせまた』ってなんだ!俺がいつもそんなこと考えてるみたいだろ!?」 「……違うの?」 「ちがーうっ!」 あの出会いから1年。このまま二人で話をしているだけでも楽しいと思う。でも最近、本当にそれだけでもいいのだろうかと思うようになったのだ。 3年になって、進路の話が出てきて、将来のことを考えて。 そこで、俺は今更ながら気付いたのだ。
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