二人の川原

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このまま……もし、このまま卒業したとすると、もうこうして彼女と話すことは出来なくなるのだと。 運良く同じ大学とかに行ったとしても、このままじゃきっと俺達はバラバラになるだろう。少なくとも、この川原で話している今の俺達みたいにはもうなれないから。 だから、思う。 本当にこのままでいいのだろうか、と。 隣で笑う彼女を見る。 こいつがいなくなる未来なんて―― 「……いいわけ、ないよな」 ――考えられるわけがない。 小さく、本当に小さく呟いて。俺は決心する。 「よしっ、決めた!」 「うわっ!き、急にどうしたのよ?」 そして、驚く彼女と向き合う。 「あ、あの、さ……その……なんだ……えーと……」 「え、何!?なんなの!?」 「あーもう!アレだ!」 たぶん、一年前の今頃の俺だったらこんなことは出来なかっただろう。あの時の俺はどん底で、失敗を恐れて身動きもとれない奴だったから。でも、彼女に救われた。あの時、彼女が声をかけてくれたから、俺は今こうしていられる。彼女と一緒にいられるためならなんだってやってやる!
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