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学校:到着
「やばい! 寝すぎて遅刻寸前だ!」
よし、ここは一丁走りますか。
と、意気込んだ途端に声がする。
「おい、鷲崎! 廊下を走るんじゃない!」
あぁ、こんな時に先生に見つかるなんて付いてないなぁ。
「返事は?」
「はい、判りました!」
「あ、それとちょっとこっちに来てくれ! 話がある」
「俺、遅刻しそう何ですけど?」
「遅刻は俺から担任の先生に言っておいてあげるから早くこっちに来てくれ」
早くとか言っておきながら別段、急いでいるようには見えなかった。
ラッキー! 遅刻にしなくて済むぜ!
「今、行きます!」
「いきなりで悪いが話って言うのはな、俺のクラスにいる生徒の話なんだが」
考えなしに口を出してしまった。
「なんで先生のクラスじゃない俺に先生のクラスの話をするんですか?」
「まぁ黙って聞いてなさい」
「はぁ判りました」
「それで話は戻るが俺のクラスにいる『周防亜沙美』って子がいるんだが判るか?」
「『スオウアサミ」ですか……判りませんね。特徴さえ教えてもらえれば判るかも知りません」
「特徴か……そうだな、いつも教室で本を読んでいて、しかも図書委員会だ。っといっても図書委員会は周防一人だがな」
「いつも机で本を詠んでる女の子かしかも図書委員……あっ」
そういえば二、三回、図書室に行ったときに見かけたな。
たぶん同じ子だったからあの子かな?
「判ったのか?」
「はい、たぶん判りました。あのいつも図書室にいる子ですよね?」
「たぶんその子だよ。良く判ったな!」
先生は本当にびっくりしていた。
「図書室に用事があった時にたまたま見ましたから。それでその子がどうかしたんですか?」
「そうだったな。周防は余り友達がいないみたいなんだよ。……いや、余りっていうかいないと思うんだ。他の生徒と喋ってるところや帰ってるところをみたことがないんだ」
「ふむふむ……それで俺に友達になれって言うんですか?」
「鷲崎は話が早くて助かるよ。だが友達というか初めは様子をみてくれ、頼まれてくれるな?」
「まぁ判りました。でもうまくいくか判りませんよ?」
「それでいいよ。なにかあったら連絡くれ」
「それじゃクラスに戻ります! 遅刻のこと先生に言っておいて下さいよ」
「判ったよ、朗報を期待してる!」
俺は先生に『周防亜沙美』という生徒のことを任された!
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