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「せんぱ…い?」
「ごめん、少しだけ…少しだけでいいからこうさせてくれ」
そう言って先輩はあたしを抱きしめる腕に力を込める。
そしてあたしに聞こえるか聞こえないか…小さな声で言葉を絞り出した。
「…俺っ……本当に、ずっと本城が好きだったんだ。サークルに本城が入ってきた瞬間からっ……ずっと好きだっ…た」
震える声で語りかける先輩。あたしはただ「…はい」としか答えられなかった。
どれくらいの時間が経っただろうか?
フワリと先輩が腕をほどいた。
「本城……ありがとう」
「…いえ、あたしのほうこそ、ありがとうございます。こんなあたしに好意を持ってくれて…」
「優しいな、本城は…」
そして少し淋しげに榊原先輩は微笑んだ。
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