ホシアト

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          夏の夜。 草原に寝そべる。 二人並んで大の字に。           目に映るのは 満天の星空。 ひとつだけ 赤く光ってる。 幾万ある星の中から 唯一それを見つけたよ。           小さな発見。 小さな奇跡。 周りのヒカリに消されないように 懸命に光る赤い星。 私もあの星と同じなんだろうか。           「……ねえ」 「なんだい?」 「私ってちっぽけだね」 「身長?」 「違うよ」           だってそうじゃない? 私がいて 君がいて 大勢の人達がいる。 それはあの星の数ぐらいいっぱいいる。           そのうちのたったひとつが私なんて とてもちっぽけだ。           「確かにそうだね。けれど急にどうしたんだい?」 「……見つけて欲しいって、そう思わない?」 「見つける……?」           そう 私が見つけたあの星みたいに。 この多すぎる星の中からたったひとつ。 私だけを見つけてよ。           それができたのなら きっとそれは奇跡だから。          
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