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―――*
日本に一時帰国をし間もなくだった
その晩ガラリとする会社に俺は1人佇み窓から一望出来る夜景を見ながら莉子を思い出していた
莉子の強い覚悟を弱い俺は突き放し、あれから2年という歳月が流れている
俺が母国に帰る迄の90日は泣かないと言い気丈に明るくしていた莉子で、だけど夜中に声を殺して泣いていた……
その姿が痛々しくて俺と生涯を共にすると、このように声を殺し泣かせてしまうと思っていた俺で……
別れて本当に分かった事がある
俺が間違っていた。
莉子を苦労させたくなくて、変な柵から守ってやる自信が無くて俺自身が自信が無くて……俺は莉子から逃げたのだ
そして失ったものは大きくて莉子の幸せを考えれば考える程、俺は方法を考えた
親父に仕事を認めさせ莉子を迎えに行くと――
勿論“待ってて”とは言っていない
言えば莉子は、ずっと待っている子だ
確証の無い年月も切れない約束は俺には出来なかった……
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