目覚め

13/13
前へ
/428ページ
次へ
そして、やっぱり顔を叛けられてしまうも俺は引きたくないでいる 莉子の頬を触ると涙で濡れていて体を丸め縮みこませていく 「莉子ゴメン」 謝る事しか出来ない自分に無性に腹を立たせながら俺を拒否する体勢を見て本当に後悔の波が一気に押し寄せてくる 「晴人……もういい加減私を解放してよ……」 莉子の痛恨の一言が胸に刺さるも俺は引かない だが次第に莉子の手が震えている事に気付き俺は手を緩めた すると莉子は俺の目を真っ直ぐ見て「晴人分かる?晴人が帰った後の1年より、別れる90日がどれだけ苦しかったか?!私にはアノ人に酷い事出来ない!晴人には分からないんだよ!」と言い切った 当時の記憶が蘇っていく……気丈に笑って振る舞っていた姿が…… そして俺は莉子に思わず言ってしまう 「分かった。莉子が味わった苦しみを俺も受ける。莉子が結婚するのは約100日後だよな。相手には悪いが100日だけ俺に莉子との時間をくれないか?」 俺は、この100日に勝負を賭けてみようと腹をくくった――― .
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!

363人が本棚に入れています
本棚に追加