初めてが最後

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涙が出るのは、多分自分が可哀相だからだ。 でも、そんな風に泣くのは… 惨め過ぎないかな? 僕は君を避けるようになっていた。 それから、数カ月して。 僕は仲間と飲んでいた。 酔いも廻り、高揚していた。 不意に携帯が君の着信音を歌い出した。 なんでだろう… 君に逢いたくなった。 久々に見る君は、やっぱり僕の大好きな君だった。 でもね、僕は… 「久々だね、順調?」 「うん、今日で仕事も辞めるんだ」 「そっかぁ…あのさ、ちゃんと言ってなかったから言うね」 「うん」 「ありがとう、貴女に会えて幸福でした。結婚おめでとう」 涙が溢れた。 「ごめん、あたしも貴方に頼ったり、ズルイ奴で、本当ごめんなさい」 君が泣いた。 …泣かないで…。 君を泣かせたら、僕は… 本当に君に不必要な人間になっちゃうから… 初めて、君にキスをした。 君は泣きながら、僕の頬を叩いた。 でも、もう一度僕は口づけた。 「貴方らしいね」 君は笑いながらそう言った。 僕が君の思い出になる。 そうして、 君を思い出にした。 『 初めてが最後 END』
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